名古屋へ逃げた探偵さん
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 憧れて

 


カレと知り合ったのは、行く気が全くなかった友達主催の飲み会だったのです。
友達と女二人でゆっくり語りあかそうと約束をしていた金曜日。
急きょ、飲み会をお願いされた友達が断りきれず、わたしもメンバーに加えて、その約束した日に飲み会を計画していたんです。
わたしがその飲み会のメンバーに加えられていて、その主催される日が、友達と約束していた日だと告げられてのは、飲み会前日。

わたしは、女二人でどこで語り合おうか、と、気分良くお店選びをした後だったのです。
裏切られた気持ちになりますよね。
しかも、言い出しにくかったのか、それは1週間以上も前に決められていたのですから。

もちろん最初は断りました。
聞いたときは、多少なりともむっとしましたし、特に出会いを求めているわけでもなかったですし。
わたしは友達も同じタイプだと思っていたので、なおさら、なんで?っていう気持ちも強かったんです。
でも、結局、予定は開いているのだし、友達がひたすら謝って頼みこんでくるので、わたしも断りきることができなかったんですねー。
まぁ、次に友達と会うときのネタにすればよいかって結論に辿りつきました。

そんないいきさつで参加した飲み会です。
最初から、やる気なんて全くなし。
“とりあえず生”で、乾杯し、あとは男性陣をそっちのけでおつまみとビールを楽しんでいました。

すると、男性陣に同じような類の人発見。
すぐに席を移動すると、気があると思われても面倒なので、30分ほどしてトイレに立ち、そのまま、カレの近くに腰をおろしてみたのです。

「大丈夫ですか?」
お疲れみたいですね、と声をかけると、
「昨日、夜中に呼び出されたから・・・。」
夜中に呼び出されるなんて、それって仕事でなく女?という、怪訝な気持ちが表情に現れていたのでしょうか。

カレは、あわてて否定しました。
「仕事で呼び出されたんです。」
聞いてもいないのに。っていうか、そんなのって、お医者さんとか消防士さんとか?
もしかして、良い出会いになったりして、と頭の中では好き勝手な想像がめぐります。

今度は、わたしの目がキラキラしていたのでしょうか?
またもやカレはあわてて否定したのでした。
「ただの探偵ですよ!」
って。
ただの探偵って、なんですか?
探偵さんてって、すごいじゃないですか!!!
今度はちゃんと声に出して、大絶賛。

思えば、これが、カレが本当のことを言うのを邪魔していたのかな?

 

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